この度平成28年4月付けで母校である日本大学医学部外科学系心臓血管外科学分野教授を拝命いたしました。
私は日本大学第三中学、第三高校を経て平成8年に日本大学医学部を卒業しました。卒業後は敢えて日本大学の外での研修を選択し、外部で学んだことを日本大学のために還元できたらと思い三井記念病院で消化器一般外科を中心とした外科研修を4年間受けました。その後スタンフォード大学胸部心臓外科で約3年間心臓移植免疫、再生医療に関する基礎研究を学びました。心臓血管外科の修練は三井記念病院のOBである井野隆史、安達秀雄両教授のもと自治医大さいたま医療センターで6年間行った後、チーフとして湘南鎌倉総合病院で7年間手術に明け暮れた毎日を送りました。湘南鎌倉総合病院赴任後の平成24年に湘南藤沢徳洲会病院、湘南厚木病院、大和徳洲会病院の4病院を統括して湘南心臓血管外科グループを設立し、地域の医療機関の先生方、患者様への認知を高め、救急患者を断らず、良好な手術成績を公表することにより信頼を得て、多くの患者様をご紹介いただき手術症例を倍増させることができました。この経験が地域医療連携の大切さ、特にご紹介いただく先生方の信頼を得るために良好な手術成績を維持し、診療の透明性を維持することが重要であることを実感する良い機会となりました。また、湘南鎌倉総合病院では技術的なことだけではなく循環器内科の齋藤滋先生のご指導のもとハートチームの一員としての心臓血管外科医のあり方を学びました。このように日本大学の外で切磋琢磨した良き仲間や学閥にとらわれずに指導して頂いた素晴らしい指導者との出会いが私にとって最大の幸運であったと思っております。
教授就任にあたっての目標は①良好な手術成績を維持し地域医療連携を大切にして手術症例数を増やすこと②豊富な手術症例のもとに充実した心臓血管外科医の教育プログラムを運営し多くの心臓血管外科のリーダーを育成すること③手術成績改善に直結する新たな治療法を確立するための基礎、臨床研究体制を構築することです。
ちょうど医師として定年までの折り返し地点で母校に20年ぶりに帰ってくることができました。残りの20年間で今まで外で学んできたことを日本大学心臓血管外科の伝統と融合させながら、医局員全員がモチベーションを高く持てるような医局運営を目指していきます。
今後とも御指導御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
日本大学医学部 外科学系心臓血管外科学分野
主任教授
田中正史